余語翠巌老師との出会いで得た教訓

60歳の時、小田原市に商用で出向いたとき、偶然近くの寺院で、余語翠巌(よごすいがん)老師(1912年 -1996年)のお話の集まりがあるのを知り、その席に連なりました。老師がどのような方かも、知りませんでしたが、「放てば手にみてり」という講演のタイトルになんとなく心引かれたのでした。淡々とした、語り口で解り易いお話でしたが、いま思い返してもなにも覚えていません。
ただ一点衝撃的に心に触れた言葉がありました。「其の人の人生の歩みの中で無駄のことなど何一つありません。あれもこれも駄目と決めつけているのは、誰でもない自分自身なのです。」
私は63歳の時、退職金の300万円を資本金として、会社をつくりました。私を肺結核から、立ち直るチャンスをつくってくれた足三里のお灸を、広めていきたいと思いたったからでした。
余語翠巌老師にお会いしなかったら、結核にかかったことを不運と思い続けて、生かされてきたことへの感謝は持ち得なかったと思います。